生きてはいるが、意思を示すことはない。装置を外さない限り何年にもわたって呼吸し続ける。
こうした延命方法をイメージするのか、胃ろうというだけで、はなから否定する人も少なくない。
「しかし、高齢者の中には脳はしっかりしているのに神経の病気などで体が動かせない、意思表示ができないという患者が一定数います。こういう人は胃ろうをつくることで元気になる。しかも、胃ろうで体力が回復すると自力で食べられるようになったり、介助が楽になる場合もある。老衰の患者でも神経疾患の患者でも区別せず、『食べられないから』という理由だけで胃ろうをつくっていた“過去の医療”へのトラウマが、まだ社会に残っているように思います」
■「緩和」は医療技術の集大成
人は基本的には長生きしたい。それは、どの医療現場においても前提にはなっていて、在宅診療でも決して例外ではない。