老親・家族 在宅での看取り方

病院でなくても輸血はできる 患者さんは揃って「楽になった!」

写真はイメージ(C)PIXTA

 輸血が必要な「骨髄異形成症候群」を患う80歳の患者さんが、この夏に当院で自宅療養を開始されました。骨髄中の造血幹細胞に異常が起き、正常な血液細胞がつくられなくなる病気です。

 この患者さんの場合は糖尿病貧血もあり、疼痛と血糖の管理と定期的な輸血管理が必要。当初、埼玉の自宅付近に輸血対応ができる在宅医療クリニックがなく、入院も考えたのですが、ご本人の希望で入院はせず。奥さまと2人暮らしの自宅での療養をするため、輸血可能な当診療所が紹介を受けたのでした。

 在宅医療を開始してさっそく「自宅でよかったです。1人でちゃんとしていられる」とご本人から率直なご感想をいただきました。

 輸血に関して、私から「輸血は2~3週間に1回のペースでやってみて、どれくらい値が落ちるか見てみます。患者さまの中には事前に輸血する場合はご連絡して欲しい方もいらっしゃるんですけど、どうですか?」とお話ししました。すると、「いえいえ、大丈夫です。いつでも」。

 患者さんと医師が会話を重ね、安心して輸血を受けられるのも「在宅輸血」の利点。輸血は病院で行うよりも、むしろ在宅医療の方が合っているのではないかと、経験上、考えています。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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