認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

アルツハイマー病という敵を知り迎え撃つために必要なもの

検診前の一時的対策は検査の価値が半減する

 検査はゴールではありません。そのことをしっかり理解していますか?

「近々、健康診断(または人間ドック)があるので、お酒や脂っこいもの、お米やパンを控えている」という話をよく聞きます。しかしそれでは検査の価値が半減です。

 健診は、各種検査で健康状態を評価し、健康の維持、病気の予防・早期発見に役立てるもの。「現在」を正確に反映した検査結果が出てこそですし、なんらかの異常の可能性が指摘されれば、本当に問題なのかを確認するため、速やかに再検査・精密検査を受けるべきです。

 付け焼き刃に健康的な生活を1~2週間送れば、血圧や肝機能、中性脂肪、血糖値などは若干改善することもあり、そのおかげで正常範囲という結果をもらえることがあるかもしれません。そして、またそれまでの生活習慣へ戻っていく。このような健診前の一時的対策は意味があるのでしょうか?

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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