Dr.中川 がんサバイバーの知恵

ソフトバンク大関友久投手は精巣がんの手術を告白…大きさは鶏卵ほどに

ソフトバンクの大関友久投手(C)共同通信社

 えっ、取り除いてしまって大丈夫なの……。そう思った人は少なくないでしょう。左の精巣がんの疑いで睾丸(こうがん)の腫瘍摘出手術を受けたことをSNSで発表したソフトバンクの投手・大関友久選手(24)のことです。

 一般には、聞きなれないがんでしょう。実際、精巣がんの発生率は10万人当たり1人、男性のがんの1%ほどですが、15~35歳の若い男性のがんとしては最多です。精子をつくる精細管上皮細胞から発生します。

 大関選手は、すでに摘出手術を終えて退院。「早期発見ということもあり、病理検査の結果を見ても、順調に競技に戻れそうです」と投稿。無事な経過が何よりだと思います。

 この精巣がん、ステージ1では5年生存率が100%。大関選手のように転移のないステージ1で発見できれば、治療は手術のみで追加治療もなく、ほぼ完治します。術後は厳重な経過観察は必要ですが、早期に発見できるかどうかがカギです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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