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お金か中絶か? 中間選挙で不条理な選択を迫られるアメリカ人

リチャード モンゴメリー高校で開催された民主党全国委員会の集会に出席するジョー バイデン米大統領(C)ロイター

 リベラル民主党は「共和党議員が増えればますます禁止の州が増える。絶対に当選させてはならない」と中絶を前面に押し出して選挙戦に挑んでいます。 

 一方日本以上に激しいインフレに襲われているアメリカでは、多くの人の生活がとても苦しくなっています。そのため共和党は「民主党もバイデン政権もインフレ問題を解決できない、全くダメだ。」と厳しく糾弾し、経済が大事なら共和党に投票しろとあおっています。

 一体どちらが勝つのでしょうか? 

 深刻なインフレの中、当初は経済で戦う共和党が有利と考えられていました。

 ところがそうではないかもしれない、という声も出始めています。そのきっかけが8月23日ニューヨーク州郊外で行われた、下院議員の補欠選挙です。

 この地域は両党の勢力が拮抗する激戦区。ところが蓋を開けてみると、中絶擁護を掲げた民主党候補が、共和党候補にハッキリと差をつけて下しました。また投票を前に新たに有権者登録をしたのも、圧倒的に民主党支持の若い女性だったというのです。

 「アメリカは経済より中絶を選ぶかもしれない」と、共和党がパニックに陥ったという報道もあるほどです。

 最終的にどちらが勝つのか全くわかりませんが、まさにアメリカの未来を賭けた戦いから目が離せません。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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