それで、気になるのは「抗がん剤もやめていた」というバンドマンの長男の言葉。胃がんが進行すると、術後に抗がん剤投与を行います。体重が15%以上減ると、7割以上が抗がん剤を離脱するといわれるのです。体重減少で栄養状態が悪いと、副作用の口内炎や吐き気が出やすく、余計に食べられなくなり、痩せる悪循環に陥りやすいためと考えられます。
それで、胃がんが進行して、転移病巣が大きくなっていたら……。突然の出血はあるかもしれません。
もし読者の周りに胃がんの切除で痩せた方がいれば、体重を少しでも回復すること。その対策としては、食事の回数を分け、よく噛むのが一つ。消化を補う消化酵素薬を処方してもらったり、流動食タイプのサプリを活用したりすることもいいでしょう。
それに加えて、筋肉を取り戻すトレーニングが不可欠です。実際、古谷さんも「トレーニングに通う日々」で復帰に向けて前向きだったといいます。ご冥福をお祈りいたします。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵