また、現時点で人間の能力をはるかに超える機能を持った画像診断機器に、さらなる進化が本当に必要なのかといった疑問の声があるのも理解はできます。しかし、「昔は良かったのにな」と思うことは一切ありません。医療にとって、現在の進化した技術のほうが絶対にプラスになっているからです。
現在のような画像診断機器の技術があれば、かつて経験した手術で、より良い結果が出せたのではと尋ねられることもありますが、それを考えるのはナンセンスでしょう。手術の進歩というのは、画像診断機器の進化のみで成立しているものではなく、それを含めてさまざまな要素が絡み合い、全体がスクラムを組んで前進していくものだからです。数ある要素の中で突出した進歩を提供してくれる補助手段をいち早く応用していく姿勢が次世代の手術の扉を開くと信じています。
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上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」