人工血管は、ダクロン、ニット、ゴアテックスなどの合成繊維でつくられています。ある程度の柔軟性があって形を変えやすく、時間の経過により変性を来して太くなったり、いびつな形状にならないといった特徴を持つ素材でなければなりません。そうした素材が進歩したこともありますが、それ以上に「編み方」が進化しています。より生体に馴染みやすく、血液が漏れにくくなっているうえ、人工血管の内部で血液が固まったときでも、外側に近いところだけが固まって、中心部分までは固まらず、血流が維持されるような編み方の工夫が施されているのです。
いまの人工血管は50~60センチで12万~13万円と高価になりましたが、その分、生体適合性が高く、トラブルを起こしにくいため、再手術のリスクが減ったといえるでしょう。
■生体弁はかつての2倍に
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」