認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

老親の「動こう」「楽しもう」という気持ちを尊重しサポートしよう

ディズニーランドに連れて行ってあげれば良かった…(C)共同通信社

「祖母をディズニーランドに連れて行ってあげればよかった」

 58歳の女性は、今でも悔いていると話します。

「祖母」は、30年ほど前に亡くなりました。93歳だったそうです。

 祖父は早くに亡くなっており、祖母はその女性の実家もある広島県で、息子夫婦(女性の母親の兄夫婦)と住んでいました。

 おいしいものが好きで、散歩が好き、デパートでの買い物が好き。近所に友人も多く、孫である女性は「話が楽しくて、魅力的な人。人生の大先輩としても憧れの存在」と言います。

 女性は大学進学で上京。「卒業したら地元へ戻ってこい」という両親を説得し、東京の企業へ就職しました。

 かねて、祖母から「ディズニーランドへ行きたい」と幾度となく聞いていたのですが、仕事が忙しくてままならず。少し余裕が出てきた時には、祖母は80代半ばでした。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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