ですから、古い記憶やよく知っている人の認識はある程度、最後まで残ります。
一方で、早期に人を認識できなくなって、身近な人を忘れてしまうのが「レビー小体型認知症」といわれています。
全体の4.3%と割合こそ少ないですが、脳にレビー小体というタンパク質が蓄積し、塊ができることで神経障害が引き起こされます。主に運動、思考や記憶に関する領域に影響を与えることが分かっていて、運動でいえば睡眠困難や体の平衡をとれないなどの症状がみられます。さらに、記憶混乱や記憶喪失などの認知の問題が起こるので、凶暴になったり、怒りっぽくなって認知症と判明するケースが多いです。
レビー小体は、人の名前や人を認識する能力をつかさどる脳の領域にたまって障害を与えます。そのため、「あなた誰?」と言われて、「息子だよ」と怒って返答してしまっても患者さんを怒らせてしまいます。介護する側にとっては、忘れられてしまってつらい思いをする方も多い認知症です。
名医が答える病気と体の悩み