名医が答える病気と体の悩み

認知症の患者は身近な人から忘れてしまうのは本当なのか

昔の記憶は残っているが

 いずれにしても、認知症によって人を識別する能力が衰えると、新しい記憶であるほど忘れてしまいます。昔の記憶は最後まで残るので、若い頃の夫や妻のイメージは思い浮かべることができます。

 そのため、息子や娘を配偶者と間違えるケースが多いのです。成長して大人になった子供のことは分からなくなるし、年老いた現在の配偶者のことも「見たことがない人」になってしまいます。身近な人の一番最近の姿が分からなくなるともいえます。

▽森川髙司(もりかわ・たかし) 奈良県立医科大学卒業、奈良県立医科大学付属病院で臨床研修医(第2内科)。その後、吉野病院、田北病院内科医長、向山病院副院長などを経て、兵庫県尼崎市に医療法人煌仁会 森川内科クリニックを設立。現在、産業医や校医も務める。

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