認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

若年性アルツハイマー病は「すぐに何もかもできなくなる病気」ではない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■仕事を継続する人も

 ところで若年性アルツハイマー病には、世間的にいくつか誤解があると感じています。インターネットで検索すると、「早ければ18歳から発症」とあります。これは若年性認知症を18歳以上65歳未満の発症とする定義に関係し、また交通事故や脳梗塞などで発症する別の若年性認知症であり、アルツハイマー病の場合は、通常は早くても45歳くらい。平均して51~52歳くらいといったところでしょうか。

 また、「進行が速い」と前述しましたが、それは「老年性のアルツハイマー病と比べると」ということで、発症してもすぐに何もかもできなくなるわけではありません。軽症が5年ほど、中等症で5~8年、さらに症状が進んだ段階までも5~8年ほど。

 仕事も、ある段階まで続けられますし、実際そうしている人が珍しくありません。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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