「のどは痛い?」(私)
「痛くない」(患者)
細かいことでも患者さんに話しかけながらコミュニケーションを取り、小さな不安を取り除くことから在宅医療が始まりました。
「ご飯はどうですか?」(私)
「昨日はいなり寿司と肉じゃがをちょっと。今日はまだ食べてないです」(患者)
「点滴しますか? ご飯は食べられそう? 難しいようなら点滴という方法もありますが」(私)
「水も飲めているし! いらない! 今なら食べられる……大丈夫」(患者)
患者さんには食べる意欲がありました。そんな患者さんの生きる意思を一つ一つ確認するように、会話を重ねていくうち、今では信頼関係を築くことができました。
自分にとって満足できる在宅医療と巡り合うということは、とても重要です。今回のケースとは逆に、私たちのクリニックが合わず別のところへ移られる患者さんもいるでしょう。患者さんやご家族が自分の価値観で選択できるのも、また在宅医療なのです。
老親・家族 在宅での看取り方