高齢者の正しいクスリとの付き合い方

クスリの影響も“食べる”力が低下する大きな原因になる

写真はイメージ

 日本人の平均寿命は男女ともに、ほぼ毎年最長を更新しています(2021年は新型コロナウイルスの影響で少し短くなりました)。もうひとつ、「健康寿命」という言葉があります。健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義され、平均寿命と異なり3年ごとの統計となっています。こちらも統計ごとに最長を更新しており(男性72.68歳、女性75.38歳)、WHO(世界保健機関)加盟国の中でも最長です。

 こう書くと良いことのように見えるかもしれませんが、じつは大きな問題があります。それが平均寿命と健康寿命の乖離です。この乖離は男性で8~9年、女性で約12年あり、これがここ20年以上の間、まったく縮まっていないのです。今後、さらに進むと思われる超高齢社会に向けて、この乖離をいかに縮めるか。つまり元気な高齢者をいかに増やしていくかが医療面、財政面だけでなく、高齢者の生活の質の面でも極めて重要となってきます。

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東敬一朗

東敬一朗

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

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