「本人が病院に行けなくなり、家族が薬だけを取りに行くようなケースも要注意です。医師に薬の感想を伝えられないため、不要な薬を長期的に飲まされかねません」
代表的なのは、慢性心不全と診断され、利尿剤が投与された場合。体の余分な水分が排出できずに心臓に負担がかかる慢性心不全では、利尿剤は必要な薬だ。
しかし、その後入院したり、在宅診療に移った場合は薬を見直す必要がある。
「水分制限がしっかりできる環境に移れば、利尿剤は決して長期投与される薬ではありません。むしろ、漫然と投薬を続けることの方が危険です。水分が体から抜けすぎて脱水症状を来したり、腎不全や脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすこともあります」
明らかに看取りが近い患者に対しての投薬の是非をすべて医師の判断に委ねるのではなく、生活を一番見ている家族が判断すべき時があると山中医師は言う。