柳沢先生!教えて!睡眠で知りたいこと全部聞いた(前編)「日本人は世界で一番睡眠不足」

睡眠時間(調査票)と総死亡率の関係(提供画像)

 ──よく眠った方が生産性が上がるのですか?

 国民の平均睡眠時間とGDPの関連性を比べてみると経済的に豊かな国の方がむしろよく眠っています。寝る間を惜しんで働くのはナンセンス。日本と韓国だけが極端に睡眠不足なのですが、これは遺伝とかではなく、完全な社会問題だと思います。

 ──日本人は考え方を変えなければいけませんね。

 1日24時間しかないじゃないですか。睡眠時間は住宅ローンみたいなものなんですよ。決まった給料の中でまず確保し、絶対に毎月返さないといけない。そんなふうに考えないといけないのです。私の場合は夜0時から朝7時までは睡眠以外のことはしないと決めておく。もちろん、守れない日もたくさんありますよ。でも、原則そうだと決めておくと、それ以外のことは朝7時から夜0時までの間にやらなければいけない。でも、日本人は一生懸命働き、付き合いや趣味にも時間をかける。通勤時間もある。で、余った時間に寝ましょうってことになる。これは破綻します。余ったお金で住宅ローンを返していたら、破綻するでしょ?(=後編につづく)

▽柳沢正史(やなぎさわ・まさし)筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構長。1960年5月生まれ。睡眠覚醒を制御する神経伝達物質オレキシンの発見者。米科学アカデミー正会員。紫綬褒章、朝日賞など受賞多数。

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