アスリートの快眠術

ダービージョッキー藤田伸二さんはなぜ、睡眠導入剤に頼らなくてはいけなくなったのか

藤田伸二氏(50歳・元JRA騎手)/(C)日刊ゲンダイ

 睡眠といえば長い間、薬の世話になっている。俺は閉所恐怖症からパニック障害になった。今も電車や飛行機は苦手だ。

■新幹線は緊急停止、飛行機は滑走路からスポットへ逆戻り

 あれは2003年のダービー前日のこと。中京でのレースが終わり、新幹線のぞみで名古屋から東京へ移動しているときだ。グリーン車の窓側に座ると、隣には太ったオヤジがいた。その圧迫感で息苦しくなり、車内をウロウロしていたらいよいよ息ができなくなってきた。

 車掌に状態を説明したら、のぞみは小田原で緊急停止。俺は(武)豊さんと松永(幹夫・現調教師)さんに抱えられ病院へ直行し、精神安定剤の注射を打った。それからパニック障害になり、20年以上も精神安定剤を毎日飲んでいる。

 海外へ行くとき飛行機に乗ると「ガタン」とドアが閉まる音がやばい。あの音を聞くと「もう10時間以上も外へは出られない」という不安から心臓がバクバクしてくる。耳栓したりDVDプレーヤーを見ていたが、ある日息が苦しくなってどうにもならず客室乗務員に事情を説明し、滑走路からスポットへ引き返したこともある。主治医に相談したら「寝てしまった方がいい」と言われ、睡眠導入剤を処方してもらっている。搭乗前にこの薬を飲めば30分ぐらいで眠くなるが、誰かに起こされるまで寝ていたことはないね。海外でも香港などの近場や国内移動のときは飲まない。

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