上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

トラブルを防ぐためにあらためて「薬の適切な処方」を見直したい

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

■薬が適量かどうかは血液検査でわかる

 このような薬による有害事象が起こらないようにするため、本来、新規の病態に対する薬の処方は、まず2週間分を出し、それが終了した時点で一度検査を行って問題がなければ次は1カ月分を処方、それを3カ月間ほど続けて効果が出ているかどうか、問題がないかどうかを確認してから、2カ月分、3カ月分の長期処方に延ばしていくのが正しい手順です。

 しかし、多忙な医療機関などでは、そうした手続きを踏まずにいきなりドンと長期で処方されるケースも少なくありません。

 ですから、もしもそうした適切ではない長期処方があった場合、患者さんの側から拒否してもらいたいと思っています。「まずは2週間後に検査してください」「また1カ月後に来るので診てください」といったように、医療者側に“正しい処方の手順”を提案してほしいのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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