昨今はスマホやSNSの普及によって、筆跡を偽るようにメールやメッセージアプリ上で、他者が本人を装うことも珍しくありません。実際、そういった行為が刑事事件、民事事件でしばしば争点になっており、私たちのような言語学者に、本人か否かの鑑定を依頼するケースが増えているほどです。
では、どのようにして見破るのか──。先述したように、文章にも癖があるからこそ、バレてしまうのです。句読点のタイミングや助詞の使い方などには、それぞれに個性があります。我々の世界では、「文章の指紋」と呼んでいるのですが、個人の文章の特徴を集め、アルゴリズムやビッグデータ解析などによって、その人にしかない特徴を浮き彫りにすることができるのです。人の文章を見返してみると、「人となり」ならぬ「文字となり」のような個性があるんですね。
また、日本語は「ひらがな」「カタカナ」「漢字」「アルファベット」を使い分ける言語ですから、その組み合わせにとても個性が出やすい。デジタルで作られた文章だからこそ、手書きより条件が安定しているため、解析がしやすいのです。
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