Dr.中川 がんサバイバーの知恵

箱根駅伝で実況の菅谷大介アナはすい臓がん克服…早期発見には管の拡張をチェックする

本人のインスタグラムから

 すい臓が分泌する消化液のすい液はすい管を通って十二指腸に流れていきます。その管が詰まって、太くなったのが、「すい管拡張」です。詰まらせる要因の一つがすい臓がんで、精密検査が欠かせません。

 その結果、すい臓がんが見つかり、すぐに手術と抗がん剤治療を受けています。早期の「すい管拡張」で見つかり、治療できたことが一つ。

 もう一つは、がんができた部位です。すい臓は頭部、体部、尾部の3つに分かれ、尾部は頭部に比べて早期に見つかりやすい傾向があります。さらに尾部は、頭部より手術がしやすい点も見逃せません。

 すい臓がんが頭部にできた場合の手術は、その部位のほかに十二指腸と胃の一部、胆のう、胆管など周りの臓器をリンパ節や神経と一緒に切除します。切り離された臓器は、それぞれ小腸とつないで、消化液や食べ物の通り道を確保しなければなりません。腹部手術の中で最も難易度が高く、術後合併症の頻度も高いのです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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