Dr.中川 がんサバイバーの知恵

箱根駅伝で実況の菅谷大介アナはすい臓がん克服…早期発見には管の拡張をチェックする

本人のインスタグラムから

 一方、中央の体部は、両側を残して切除するため、すい臓機能が良好に保たれやすい。頭部側の切除面は閉鎖し、尾部側の切除面は小腸につなぎますが、頭部の手術より簡単です。実際、体部にできた菅谷さんの手術は4時間で終わり、出血はわずか3㏄だったそうです。術後2週間で仕事を再開できたのは、体の負担が軽かったことの証左といえます。

 また、尾部の手術は、近くにある脾臓と一緒に切除するのみ。小腸とのつなぎ合わせが必要ありません。

 発生部位は運ですが、早期発見の心がけはだれにもできること。すい臓がんは、糖尿病、慢性すい炎、過剰飲酒(日本酒で1日3合以上)、すい臓がんの家族歴、肥満などがリスクですから、これらのリスクがある人は定期的に超音波検査を受けることです。腹部脂肪が多いと、異常がよく見えません。そういう方はMRIを使って精度の高いMRCP(MR胆管すい管撮影)をお勧めします。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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