健康の「素朴な疑問」

なぜ、新型コロナの重症者や死者は男性の方が多いのか?

(C)ururu/iStock

 今回は性染色体のお話しをしましょう。ご存じのようにヒトの免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」がありますが、どちらも女性の方が強いとされています。たとえばがんによる死亡率は女性は男性の半分程度ですし、インフルエンザを接種した後の抗体価の上がり方は女性の方が強いことが知られています。

 逆に免疫応答が強いが故に、アレルギーなどの自己免疫疾患は女性の方が多いことがわかっています。なぜか。理由のひとつにX染色体不活性化機構が関係していると言われています。

 ヒトの体は37兆個の細胞で出来ていて、そのひとつひとつの細胞の中心に染色体があります。染色体は遺伝情報が詰まったDNAを折りたたんだもので、親から子に受け継がれる遺伝情報が収められています。染色体には常染色体と性染色体があり、父親から受け継がれるものと母親からのものが対になっていて、ヒトは23組(46本)あり、性染色体は1対(2本)あります。

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