「食べる時間と健康」何がわかり、何が未解決なのか? 時間栄養学の第一人者が語る

早稲田大学先進理工学部の柴田重信教授(提供写真)

 ヒトの体の中には複数の体内時計の仕組みが備わっている。主時計は視交叉上核にあり、ここの神経を壊すと、覚醒・睡眠のほか、活動、体温のリズムなど一日の周期リズムがなくなることがわかっている。このほかに、視交叉上核以外の脳にある脳時計、肝臓や肺や腎臓などにある末梢時計が存在し、主時計を補完する働きがあることがわかっている。こうした体内時計の動きに従って栄養を取れば、より効率的に体内に栄養を吸収して筋肉などを合成することができる。

「例えば、高齢者は握力や下肢、体幹など全身の筋肉が衰えて、歩くスピードが遅くなり手すりや杖が必要となっていきます。いわゆるサルコペニアの状態です。それが進むと寝たきりになったり、認知症が進みます。その原因は主に加齢ですが、食事の量や内容も関係していて、特に筋肉のもととなる動物性タンパク質を食べる量が減るからだといわれています」

2 / 5 ページ

関連記事