心臓手術はチームで行われます。執刀医の対面などには1~2人の助手が配置され、手術をサポートします。執刀医の動きに合わせて、術野を確保したり、切開や縫合をやりやすくする補助の役割を担うスタッフです。
ただ、執刀医が手術中に助手に依存しすぎてしまうと、完成度が自分の理想よりも低くなってしまうケースがあります。
今回の場合、サポートしてくれている助手とのコンビネーションがいまひとつ噛み合わないことがあり、処置の最中に糸が切れるなどの操作ミスが何度か起こりました。
もちろん、患者さんに不利益は一切ありませんし、手術自体に問題が生じるようなミスではありません。ただ、これまで当たり前のようにずっと繰り返してきた処置で問題が発生したのです。これは、周囲のスタッフとの調和がとれていないのだろう──そう考え、助手に頼ることなく、ひとりでやりやすい縫い方にチェンジすることを決めました。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」