Dr.中川 がんサバイバーの知恵

29歳の女流棋士・堀彩乃さんが舌がん罹患 2週間以上の口内炎は専門医へ

舌の両側の違和感が2週間以上続くようなら…

 そのためには、早期発見に尽きます。舌がんは舌の先端や中央にできるのは少なく、多くは両脇にできます。堀さんも気にされたように、自覚症状は口内炎です。口内炎はせいぜい10日程度で治りますから、舌の両側の違和感が2週間以上続くようなら、舌がんを疑って大きな病院の耳鼻科を受診するとよいでしょう。舌がんに詳しい口腔外科もお勧めです。

 入浴や歯磨きのときなどに親指と人さし指で舌の両側を触ってみるセルフチェックもよいでしょう。硬く感じる部分があれば受診を。舌がんは、乳がんと同様にセルフチェックが効果的です。

 舌がんを含む口腔がんは飲酒と喫煙のほか、手入れの悪い歯並びがリスクになります。虫歯で欠けた歯、合わない義歯や入れ歯、悪い歯並びなどを放置すると、慢性的な舌への刺激が口内炎を生み、平均10年を経てがん化するのです。

 舌の奥にできる舌根がんは分類上、中咽頭がんに属し、中咽頭がんは6割がオーラルセックスによるHPV感染が原因。舌がんも1割がHPV感染が原因とされますから、セックスの後の歯磨きやうがいは口腔がんの予防になります。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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