老親・家族 在宅での看取り方

在宅医療は「片道16キロ圏内が望ましい」が規定だが例外もある

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 体調の急変に動揺されつつも、自宅に戻った安堵感を噛みしめていらっしゃるご様子。

「以前の輸血は病院ですね」(私)

「左腕からしました。わたしは左側のリンパ取っているので、いつもは右側なんですけど、腫れてからは左腕で」(患者)

「自宅で輸血する同意書にサインお願いします」(私)

「今日は血小板?」(患者)

「赤血球と血小板の両方です」(私)

「時間かかりそうね」(患者)

「ずっとそばにいるので病院より早めに終わりますよ」(私)

「ホント!? うれしいわ」(患者)

 実は、輸血はどの在宅医療のクリニックでも行っているわけではありません。ペースメーカーのチェック、ときに専門的な処置が必要となる「褥瘡」(床ずれ)、食物や水分や医薬品を投与するために腹壁を切開して胃内に管を通す「胃ろう」なども同様です。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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