老親・家族 在宅での看取り方

在宅医療は「片道16キロ圏内が望ましい」が規定だが例外もある

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 また、知っておいていただきたいこととして、規定により在宅医療を行う医療機関は、患者さんの自宅からの距離が片道16キロ圏内であることが望ましいとなっていることです。

 ただしその圏内に、輸血など患者さんが求める診療を実施できる医療機関がない場合や、たとえ医療機関があったとしても往診などを行っていない場合は16キロ圏内でなくても可能です。ちなみにこの患者さんのご自宅は遠方ですが、ぎりぎり16キロ圏内でした。

 ですから、今かかっている病院や地域包括支援センターに在宅医療のクリニックを紹介してもらう場合は、対処してほしい具体的な医療対応、その他さまざまな疑問や不安を伝えることが大切。そうすることでより納得できる在宅医療を受けられるのです。

「最期はどうなっていくんですか?」(息子)

「徐々に意識が下がることもありますし、夜まではお話ししていたのに、朝起きたら様子が変わっていることも。急なことでびっくりされると思いますが、まずは我々のところにお電話してもらえれば大丈夫ですから」(私)

「はい」(息子)

 遠距離でも安心して信頼していただく。それが在宅医療の一丁目一番地なのです。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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