認知症を予防する補聴器のすべて

補聴器使用者はそうでない人より認知機能低下が抑制される

人と話す機会が増え、趣味活動が活発に(C)日刊ゲンダイ

 本連載を読んだというお客さまから「認知症は補聴器で予防できるの?」という疑問をいただくことがあります。

 補聴器は医療機器です。医療機器には、効能効果が厳密に定められており、現時点で補聴器に定められている効能効果は「難聴者の聴力を補う」です。この効能効果以外のことを表現することはできません。

 一方、2016年の世界保健機関(WHO)の執行理事会では、認知症が単独の議題として初めて取り上げられました。その後、難聴が認知症のリスクのひとつとして認識されるようになり、補聴器の認知症予防効果についての注目は年々高まっています。欧米やわが国でさまざまな研究が進み「補聴器を使用する人は補聴器を使用していなかった人に比べ認知機能の低下が抑えられる」という結果が複数発表されているのも事実です。

 認知症の大半を占めるアルツハイマー型認知症は、今のところ根本治療は確立されていません。そのため、発症を遅らせたり進行を緩やかにする手段があるならば、それを実践するのは良いことだと思います。

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田中智子

田中智子

シーメンスの補聴器部門でマーケティングの勤務を経て、2020年補聴器販売会社「うぐいすヘルスケア株式会社」設立。認定補聴器技能者資格保持。

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