こうした穏やかなタイプについては、手術や放射線などをせず経過観察のみにとどめる監視療法で様子を見ます。もし悪性度が上がって悪さをしそうなら、そのタイミングで治療をするのです。今回の検査方法の開発で前立腺がんの絞り込みが進むことは歓迎ですが、過剰診断・過剰治療で監視療法がおろそかになる懸念はあるかもしれません。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵
1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。