ただ、薬物による血栓溶解療法は、血栓が完全に溶け切らず血管内に残って再び血管が閉塞することもある。胃潰瘍などの出血性の病気がある場合は血栓溶解剤を使えない。経皮的冠動脈インターベンションや冠動脈バイパス手術も時間が経てば再狭窄の可能性がある。そもそも冠動脈は石灰化するとセメントのように硬くなる。それを解決するのが古くて新しいローターブレーター治療。工業用ダイヤモンドの粒子をちりばめた米粒大の高速回転ドリルを血管内で前後させ、病変部を削り取る。30年以上前の技術だが、この治療法も重要だ。
また、急性心筋梗塞は発症後の迅速対応の有無が救命に大きな影響を与える。その意味では住宅メーカーが開発を急いでいるスマートホームが救命の新たな武器になる。
「寝室やリビングなどに設置した非接触型のセンサーで心拍数や呼吸数をモニターし、異常があれば緊急通報センターに通知、オペレーターが安否確認を行い、必要があれば救急隊に出動要請し、玄関ドアを遠隔開錠する。こうした実証実験を一部住宅メーカーで行っています」
医療未来学者が語る 5大国民病のこれから