医療未来学者が語る 5大国民病のこれから

精神疾患は技術の発達で原因遺伝子や病態の解明が劇的に進む

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 磁気刺激による治療も始まっている。うつ病では思考や意欲をつかさどる背外側前頭前野の働きが低下していることが知られている。そこを磁気によって刺激して活性化するというものが「うつ病TMS(経頭蓋磁気刺激)治療」だ。

「うつ病の人は喜びや不安をつかさどる脳の『偏桃体』と呼ばれる場所が過剰に活動して不安を感じやすくなっていることもわかっています。磁気刺激により、偏桃体の活動を抑制する力が回復し、喜びが感じられるようになると考えられているのです」

 むろん、精神疾患分野の創薬も量子コンピューターや遺伝子検査などの登場により発達すると期待されている。

「精神疾患では原因遺伝子の同定や病態の解明が劇的に進むと考えられます。その結果、精神疾患の診断と治療は飛躍的に進化すると考えています」 (おわり)

3 / 3 ページ

奥真也

奥真也

1962年大阪生まれ。東大医学部卒業後、フランス留学を経て埼玉医科大学総合医療センター放射線科准教授、会津大学教授などを務める。その後、製薬会社、薬事コンサルティング会社、医療機器メーカーに勤務。著書に中高生向けの「未来の医療で働くあなたへ」(河出書房新社)、「人は死ねない」(晶文社)など。

関連記事