老親・家族 在宅での看取り方

薬でかえってツラくなっていないか? 見直しでQOLが向上する

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 自分が服用している薬について、いったいどのように症状をコントロールし、どんな副作用があるのか──。患者さん及びご家族がこれらを正しく理解することは、病院での療養か在宅医療かに関係なく、非常に重要だと考えています。

 ただ病院では、薬の説明を詳しく説明する時間をなかなか持てません。病院から在宅医療に切り替えた患者さんのご自宅に伺い、その薬のメリット、デメリットを伝えると、「初めて知った」と驚かれることもしばしば。これまで処方されていた薬の種類や量を見直した結果、薬の量を減らせ、生活の質(QOL)が向上したケースも少なくありません。

 その患者さんは、胆のうがんと喘息を患う55歳の女性。旦那さんと2人暮らしです。

 抗がん剤治療を続ければ余命半年、抗がん剤治療をしなければ1カ月というのが、病院の主治医の見立て。そのため抗がん剤治療にトライしたのですが、副作用の吐き気と貧血がひどく、途中で断念せざるを得なかったとのこと。また、がんの痛みを処方された麻薬性鎮痛剤で何とかしようとしたものの、うまくコントロールできていませんでした。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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