講演後の夜は、歓迎パーティーを病院近くの居酒屋で開きました。研修医たちは米国医師を囲んで遅くまで歓談していました。米国医師は、講演後に京都などを旅行して、帰国する方もいらっしゃったようです。
日本の研修医が、日本の病院の各科を回るだけではなく、たとえ短期間でもアメリカに渡り、UCLAの診療などの見学もできたのです。S君と私は、研修医が若い時代にそのような経験をすることで、より視野の広い医師に育つことを確信していました。
当時、UCLAの病院を見学して卒業した研修医たちは、現在は某がんセンターなどで中堅医師として、あるいは指導医師として活躍しています。
数年前、S君から届いたメールによると、心臓の大きな手術を受けた後、腎不全となったようでした。しかし、彼は負けませんでした。毎夜、就寝中に腹膜灌流透析を行い、昼は診療と研究をしていたのです。そして、その後も何回も日本に来て、腹膜灌流透析を行いながらも各地を講演して回りました。その話を聞いて、私にはとてもできることではないと思いました。
がんと向き合い生きていく