がんと向き合い生きていく

UCLAの教授だった同級生の訃報…元気で会えたら聞いてみたかった

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 大学卒業の頃、私たち同級生の多くは大学医局制度反対とか、そんなことで騒いでいたのですが、彼の進路はまったく違っていました。卒業してすぐに米軍病院で研修を受け、アメリカに渡り、そのまま某病院で内科レジデント、そして某大学病院でアシスタントレジデント、チーフレジデント、内分泌フェローシップの後、内科スタッフとなり、さらに、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)助教授、准教授、そして1993年には教授となりました。日本人の彼が、米国の病院でアメリカ人に負けじと頑張り、その成果が実った結果であると思いました。

■研修医の育成を協力して模索

 私は彼と連絡を取り合って、日本の研修医がアメリカの医療に触れる機会を模索しました。そして東京都庁の協力を得て、数年間ではあったもののUCLAへわれわれの病院から数人の研修医を送り、そしてUCLAからはいろいろな分野の専門医師が日本に講演に来られました。S君から紹介され、初めて日本を訪れる米国医師を迎えるため、研修医が成田空港に迎えに出向いたり(多くは土日に着きました)、一度はわが家に2人の医師に泊まってもらったこともありました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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