実用化が近づくアルツハイマー病新薬「レカネマブ」さらなる最新ポイント

日本認知症学会理事長で東大大学院医学系研究科神経病理学分野の岩坪威教授(C)日刊ゲンダイ

 アルツハイマー病の新薬、レカネマブが厚労省の専門家部会で承認された。治療現場で使われるようになるのも間もなくだ。日本認知症学会理事長で東大大学院医学系研究科神経病理学分野の岩坪威教授(写真)にアルツハイマー病治療薬について話を聞いた。

 レカネマブは、前回の本欄で触れた通り、アルツハイマー病発症の“上流”に働きかける薬だ。

 アルツハイマー病は、「アミロイドβ蓄積・凝集↓タウタンパク質蓄積・凝集↓神経細胞死滅↓アルツハイマー病発症」という過程を20~30年かけてたどる。レカネマブはアミロイドβを除去し、進行を抑制する。

 レカネマブの最終的な臨床試験では、早期アルツハイマー病を対象にした。早期アルツハイマー病とは、アルツハイマー病の前段階MCI(軽度認知障害)と、軽症の認知症症状をもつアルツハイマー病だ。1年半の投与で脳内のアミロイドβが約60%減少、認知機能低下が27%抑制された。

1 / 4 ページ

関連記事