また、高齢になるほど孤独が心身に悪影響を与えることもわかっています。国際精神神経内分泌学会の公式ジャーナルに掲載された報告によると、若年層では孤独が解消されれば先ほど触れたコルチゾール濃度も低下するのですが、年齢が上がるにつれてなかなか低下せず、前日の孤独感が翌朝のコルチゾール濃度に影響するといいます。年をとると、孤独の影響を長く引きずり、慢性化しやすくなるのです。
たとえば、長年勤めた会社を退職した後、妻に先立たれ、社会的なつながりも希薄になって孤独を感じているような高齢男性では、心臓病をはじめとした健康リスクを抱えていると自覚して、特に対策を講じることをおすすめします。
そのひとつが趣味を持つことです。何らかの趣味を持っている人は、趣味がない人に比べて心血管疾患の発症が少ないという日本の研究があります。それによると、ゴルフ、ジョギング、釣りなどの体を動かすような屋外での趣味だけでなく、読書、映画観賞、コンサート、ゲームといったインドアの趣味でも差はなく、発症が少ないと分析されています。趣味を介して周囲と接点を持つことで孤独を感じなくなったりストレスが解消され、心臓を守るのです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」