狭心症には、心筋梗塞に移行する心配がそれほどない「安定狭心症」と、移行する危険がある「不安定狭心症」というタイプがあります。
安定狭心症の場合、痛みの発作が起こるきっかけや回数、痛みの強さがほとんど一定なケースが多いというのが特徴です。たとえば、急に100メートルくらい小走りしたときに差し込むような胸痛が現れ、少しの間、安静にしていると治まった。
それ以降、再び同じように走ったときにまた胸痛を起こす場合、安定狭心症だと考えられます。その場合、発作のきっかけとなる労作をしないように注意していれば、突然死のリスクはそれほど高くないといえます。
また、「プレコンディショニング」と呼ばれる心臓の自己防衛の仕組みが働いている場合には、同じ労作で発作が起こったときに心筋の虚血を小規模にとどめようとするため、痛みが発生しないケースもあります。こうした仕組みがうまく働いている安定狭心症は、危険は大きくありません。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」