老親・家族 在宅での看取り方

夫の最期を共に過ごすために妻は「介護休業」を活用した

残された時間を一緒に過ごすために介護休暇の取得も…

「今のところはまだ動けちゃってるところがあるので、まだまだやりたくないってことを言うと思います。ただもっと状態が悪くなったら苦痛を取ってほしいってなるかもしれない」(奥さま)

「そうですね。痛い苦しいっていうのは取り除くようにできます。ただ輸血や点滴は、状態が悪くなったタイミングでやると、もしかしたら間に合わないという可能性があります」(私)

 在宅医療スタート初日から予後のことなど忌憚なくご家族とお話をしました。それから2週間後、奥さまから電話がありました。

「介護休業を取りたいので、診断書を書いていただけますか? 会社に提出するためです」

 旦那さんの状態が急変し、食事が取れないようになり、さらに痛み止めの麻薬で吐き気とせん妄も出てくるように。話しかけても応答がないことが増えたため、つきっきりで介護したいと、奥さま。

2 / 3 ページ

下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

関連記事