Dr.中川 がんサバイバーの知恵

来年4月から新制度スタートの子宮頸がん検診…HPV検査と細胞診の2段構えの意味

女優の原千晶さんはこの病気啓蒙活動に励む(C)日刊ゲンダイ

 HPVの持続感染は10%程度ですから、受診者の8~9割は次の検診が5年後。そうすると、受診者の手間が減り、検診を行う自治体の手間も減るため、コストダウンも期待できます。

 女性のがん検診受診率は低く、子宮頚がんも乳がんも4割ほど。中小企業に限った調査ではさらに低く、それぞれ10%程度。受診率低下の要因はいくつかありますが、最も大きな要因は「時間がない」です。

 新制度の子宮頚がん検診は1度の細胞採取で2つの検査ができて、8~9割の人は検診サイクルが5年に1回ですから、受診率低下を止める追い風になると思います。

 新制度は自治体での子宮頚がん検診が対象で、当面は準備が整った自治体からスタート。職域検診は含まれず、20~29歳もこれまで通り細胞診です。ただし、世界的には2段構えが主流ですから、受診者の引っ越しなど運用の問題を改善しながら、日本も広がっていくと思います。

 子宮頚がんは英語でマザーキラー。現役世代の生活に大きな影響を与えますから、男性も人ごとではないのです。

3 / 3 ページ

中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

関連記事