Dr.中川 がんサバイバーの知恵

来年4月から新制度スタートの子宮頸がん検診…HPV検査と細胞診の2段構えの意味

女優の原千晶さんはこの病気啓蒙活動に励む(C)日刊ゲンダイ

 HPVに感染しても、多くの人は免疫によって数年でウイルスが消滅。排除されずがん化するのは0.1%程度とされます。そこで、まずHPVの感染の有無のみを調べるのがHPV検査です。細胞診はその有無に加え、がんにつながる「異形成」とよばれる状態などもチェックします。

 新制度導入に伴い、採取した細胞は保存液の中で保存。HPV検査陽性で次に行う細胞診も、同じ検体を使うことができるので、細胞の採取は1度で済み、細胞診を確実に100%行えるのもメリットです。

 HPV検査が陰性なら次は5年後。HPV陽性の場合は、細胞診による陰性か陽性かを調べ、細胞診が陽性なら本格的な精密検査を受診。細胞診が陰性の人は、翌年もまずHPV検査を受け、ここでHPVが陰性なら、次の検査は4年後です。HPVが陽性なら、同様に精密検査へ。その繰り返しで、HPV検査と細胞診を行うのが新制度の流れです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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