第一人者が教える 認知症のすべて

年末年始の帰省では親・子・孫で大いに思い出を語り合おう

人との関わりは幸福度が上がるとの研究も…

 何より、楽しく話している時に横やりが入ると、あまりいい気持ちはしませんよね。普段会っていない人との会話は、老いも若きも、健常者だろうと認知機能が低下していようと、脳への刺激になります。昔の話は、それを思い出して言葉にしたり、逆に相手の話を聞いて思い出したりすることで、脳が活性化し、活動性、自発性、集中力の向上にもなります。

 時間的、経済的な問題で、家族全員での帰省は難しい。そういう場合は、オンラインを通して会話する時間を設けるのはいかがでしょうか?

 私のクリニックで開く「健脳カフェ」では学生たちが高齢者の方と世代間交流をしていますが、学生の卒業研究によると、人との関わりは幸福度が上がり、特に孫などとの関わりでは、オンラインでも対面とほぼ同じ幸福感を得られるとの結果が出ています。

■「認知症チェックテスト」をやるのはお勧めできない

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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