老親・家族 在宅での看取り方

進行性大腸がんの50歳男性の「最後の願い」をかなえるために

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「口から飲めなくなったらどうしたらいいんでしょう?」(パートナー)

「貼るお薬もあります。東北への移動はどれくらいですか?」(私)

「新幹線で3時間くらいです」(パートナー)

「利尿剤使うと血圧が下がってしまう可能性があるので、移動が大変になってしまうかも」(私)

 小さな不安であろうと、それを解消するため患者さんやご家族と密に対話を重ねることは、在宅医療を進めるうえで重要です。そこで得られた診療情報はもれなく、移転先である現地の在宅医療の医療機関へ引き継がれることになります。

 その後しばらくして、無事に到着されたとの連絡があり、私たちもホッとしました。

 1週間という短い間でしたが、ご本人が望まれた故郷での暮らしをかなえるために必要な準備期間。そんな大切な時間に関われ、私たちにとっても貴重な学びとなりました。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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