第一人者が教える 認知症のすべて

「社会参加」や「余暇活動」が高齢者の認知機能低下を抑制する

写真はイメージ

 健脳カフェは、認知症予防に役立つプログラムをいくつも用意している点に加え、さまざまな人とコミュニケーションを取れる場所としても有益だと考えています。認知機能低下が気になる参加者、上智大学で心理学を学ぶ学生さん、カフェの趣旨に賛同するボランティアの人々など、集まる人の年齢、経歴、所属の幅は広いです。

 社会参加や余暇活動が高齢者の認知機能低下を抑制すること、認知症のリスク低減と関連していることは、研究で明らかになっています。

 地中海食と認知症の関連についての研究発表もあるScarmeas氏らは、認知症のない65歳以上の1772人を対象に、初年度は社会参加・余暇活動を調査。その後、継続的に参加していた13項目(趣味、ボランティア活動、ゲーム、映画・レストラン・スポーツイベントへ行くなど)をポイントとしてカウントしたところ、認知症発症リスクは7ポイント以上の高活動群で低下していました。

1 / 5 ページ

新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

関連記事