教えて放射線治療 ドクター黒﨑に聞く

膵臓がん治療における「手術」と「放射線治療」の選択

(提供写真)

 その際は組織診断が必要で、十分な検体量を得るためには手術が必要な場合があります。実際、「がんであることを確定する目的として行った針生検の標本」と「その後に根治を目指して行われた手術で得られた大量の標本」では、得られるデータがちょくちょくずれる場合があるのです。

 ひとくちにがんといっても、その塊はさまざまながん細胞の集合体です。針生検ではその腫瘍のごく一部分を取るため、それを解析してもがんの塊のごく一部分しか理解されないことがデータがずれる一因です。

 それに対し、手術での標本は多くの場合、腫瘍全体を切除します。大量の検体であるため、この部分ではある抗がん剤が、またある部分では別の抗がん剤が効きやすい、ということがわかるケースがあるのです。

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黒﨑弘正

黒﨑弘正

江戸川病院放射線科部長。1995年、群馬大学医学部卒。医学博士。日本専門医機構認定放射線専門医、日本放射線腫瘍学会放射線治療専門医。JCHO東京新宿メディカルセンターなどの勤務を経て2021年9月から現職。

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