Dr.中川 がんサバイバーの知恵

直腸がん手術経験者の桑野信義さんは「オムツ着用」…排便障害を避ける方法

桑野信義さん(2021年7月撮影)/(C)日刊ゲンダイ

 直腸は排便前に便をためる機能もあり、切除部位が広いと、頻繁な排便に悩まされます。桑野さんは1日60~70回もトイレに行ったこともあるそうです。これでは永久的な人工肛門を免れても、生活の質は損なわれるでしょう。

 直腸や肛門などの機能を残すには、いかに手術範囲を狭くする治療を選択するかがとても重要です。TNTは日本でほとんど行われていませんが、術前化学放射線療法は普及しつつあり、今後、選択の余地があると思います。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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