科学が証明!ストレス解消法

勉強や頭脳労働の前には「運動」を…成績がアップする

脳を働かせるには脳の血流をよくすることが重要

 では、なぜ散歩にそんな効果があるのでしょうか? それは、散歩をするだけで、脳の血流は十分良くなり、脳が活性化するから。運動と聞くと、多くの人がジョギングをはじめとした、しっかりと体を動かすことをイメージすると思います。しかし、散歩でも十分な効果があるとは、目からウロコではないでしょうか。

 イリノイ大学のサラスらは、次の実験(2011年)を行い、散歩の力を実証しています。

 被験者を2つのグループに分け、名詞を記憶するテストを実施しました。その際、「覚える前に10分間歩いたグループA」と「覚える前に歩かずに、10分間座って風景写真を見るグループB」に分けたといいます。名詞を覚えた後は、それぞれのグループに同様の行動をしてもらい、その後、テストを実施したそうです。

 その結果、10分間歩いたグループAは、10分間座っていたグループBよりも、正答率が25%良いという結果が判明しました。ちなみに、「覚える前に10分間歩く↓名詞を覚える↓歩くのではなく座って風景写真を見る」という行動に変えて実施したところ、先の結果同様に25%ほど成績が良くなったそうです。つまり、「勉強する前に歩く」ことに意味があると示されたのです。勉強する前に、適度な運動をするといっても、人によっては疲れてしまうと思います。ジョギングや縄跳びなども効果的ですが、苦手な人が無理やりすると逆効果ですし、体が疲れてしまっては元も子もありません。

2 / 3 ページ

堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

関連記事