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「胚も人間」米アラバマ州最高裁の判断で、体外受精が危機に

アメリカでは年間9万人が体外受精で生まれているが…(C)iStock

 アラバマ州最高裁で「胚も人間の子供」という判断が下され、全米に衝撃が走っています。
アラバマ州のクリニックが、体外受精した胚を誤って破損した件に対し、患者が損害賠償を求め訴えていた訴訟で、州最高裁判事は「胚も人間の子供」であり、胚の破損は「不法死亡(不法行為による死)である」という判断を下しました。

 体外受精は不妊治療の1つです。アメリカでは現在、1年間に9万人の赤ちゃんが体外受精によって生まれています。日本で生まれる赤ちゃんも7万人に迫っています。

 ところがこの判断のために、アメリカでは体外受精自体の継続が危ぶまれる事態となっています。

 体外受精させた胚は母親の胎内に移植されます。しかし受精させる卵は1つではありません。なぜなら、受精後に胚に異常が見つかることも少なくないからです。このように異常があったり、必要なくなった胚は破棄されるのが普通です。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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