しかし、今回の判断では、胚も人間の子供であるため、こうした破棄も不法死亡になってしまう。破棄した医療者が訴えられてしまうのです。
そうならないためには、極端にいうと、受精した胚は半永久的に保存しなければなりません。しかし多数の胚を半永久的に保存するのは、ほとんど不可能です。このままでは体外受精自体の存続が危うくなるのでは?という不安は、すぐに現実になりました。アラバマ大学病院が体外受精を一時停止したのです。
実は「胎児にも人権がある」として、人口妊娠中絶に反対するキリスト教右派は、体外受精にも反対してきました。中絶は現在アメリカ14州で禁止されていますが、同じことが体外受精に及ぶ可能性があります。
そして中絶の是非と共に、今年の大統領選の大きな争点として、アメリカを激しく分断することが予想されています。
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