急増する大動脈弁狭窄症の治療法「TAVI」はどんどん進化している

年々進化(C)iStock

 保険適用から10年が経ち、TAVIがますます広がっている理由のひとつにデバイスや診断技術の進化がある。

 TAVIのアプローチには、太ももの付け根からカテーテルを挿入する経大腿動脈アプローチ、鎖骨の下から挿入する経鎖骨下動脈アプローチ、肋骨の間を小さく切開して心臓の先端から挿入する経心尖アプローチ、胸骨上部を小さく切開して挿入する経大動脈アプローチなどがある。患者の血管や全身状態によって選択されるが、デバイスが細くなったことで、より安全な経大腿動脈アプローチが実施できるようになった。TAVI用の人工弁も改良され、弁の周囲の逆流は軽減し、耐久性も向上している。

「また、TAVIでは治療前の評価がとても重要です。CTや心エコーといった画像診断機器が進化したことで、アプローチ場所や人工弁サイズの選択、心臓損傷や血管損傷などの合併症のリスクをよりしっかり評価できるようになり、治療成績の向上につながっています。かつて、TAVIは治療後30日以内の死亡が5%でしたが、いまは2%以下になっています。施設によっては、周術期の死亡率が0%という医療機関もあります」

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