上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

「チョコレート」が心臓と血管を守るのは本当なのか?

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 カカオポリフェノールには、先ほど触れた抗炎症作用や抗酸化作用に加え、一酸化窒素合成酵素の働きを高める働きがあります。一酸化窒素は、血管を拡張させたり、血小板の凝集を抑える作用があるため、血圧を低下させたり血栓をできにくくして、動脈硬化の予防につながると考えられるのです。

■食生活のローテーションのひとつと考える

 一方で、今年1月には、チョコレートの摂取と心血管疾患の発症リスクには因果関係が認められないとする中国の研究が報告されています。

 英国バイオバンクからダークチョコレートの摂取量に関するゲノムワイド関連研究(GWAS)のデータ6万4945例を抽出して解析したところ、心不全、冠動脈疾患、心筋梗塞、心房細動といった10種類の心血管疾患との因果関係は認められなかったといいます。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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